懐仁堂漢方薬局

薬局の概要スタッフ紹介薬局の案内薬局のシステム学会発表例

当薬局で対応可能な疾患ブログ無料相談お知らせ




年月日 発表テーマ 学会名 主 催 場 所
2012年1月15日 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方応用結果 第15回日本統合医療学会 日本統合医療学会 大宮ソニックシティ
2011年11月20日 小建中湯の現代小児疾患疾患における応用 第39回日本小児東洋医学会 日本小児東洋医学会 倉敷市芸文館
2011年9月11日 中医学のIgA腎症治療法 第27回日本東洋医学会東北支部学術総会 日本東洋医学会 東北支部会 青森県観光物産館アスパム
2010年12月11日〜12日 中医学の糖尿病性腎症(DN)治療 第14回日本統合医療学会 日本統合医療学会 徳島大学医学部 大塚講堂
2010年11月14日 夜尿症の漢方応用 第37回日本小児東洋医学会 日本小児東洋医学会 東京慈恵会医科大学
2010年9月26日 中医学の潰瘍性大腸炎(UC)治療 第26回日本東洋医学会東北支部学術総会 日本東洋医学会東北支部会 ホテルメトロポリタン盛岡本館
2010年6月4日〜6日 中国のがん漢方治療 第61回日本東洋医学会学術総会 日本東洋医学会 名古屋国際会議場
2009年11月21日〜22日 パーキンソン病の漢方応用
中国の新型インフルエンザ漢方対策
第13回日本統合医療学会 日本統合医療学会 東京大学 安田講堂
2009年11月1日 重症筋無力症(MG)の漢方応用 第35回日本小児東洋医学会学術集会 日本小児東洋医学会 沖縄小児保健センター
2008年12月6日〜7日 頑固な皮膚病の漢方治療効果 第12回日本統合医療学会学術集会 日本統合医療学会 九州大学医学部 百年講堂
2007年12月1日〜2日 中国のがん治療の現状報告
16種類の難病の漢方治療効果
第11回日本統合医療学会学術集会 日本統合医療学会 松島一の坊(宮城県)





1.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方応用結果

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方治療結果
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方治療結果
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方治療結果
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方治療結果
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方治療結果
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方治療結果
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方治療結果
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)5例の漢方治療結果



2.小建中湯加味方の小児〜思春期消化器疾患への応用
[要旨]
中国では漢方古典の「傷寒論」の処方「小建中湯」に利湿、清熱、解毒、止血などの生薬を加味した煎じ中薬で過敏性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などの現代小児疾患の「腹痛」に応用して、著しい効果が得られている。日本漢方エキス剤の「小建中湯」単剤の服用、或いは清熱、解毒剤などとの併用は、現代小児腸疾患や腹痛への応用に有効であると考えられる。

[Key words] 小建中湯 消化器疾患 潰瘍性大腸炎 クローン病

[現状と目的]
現代の小児疾患の範疇に、食生活習慣の変化とストレスの増加により、腹痛、下痢、便秘、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病などが増えている。これらには整腸剤、鎮痛剤、ステロイド剤の治療が為されるが、一方では難治例もある。
中国では、小建中湯に加味した煎じ中薬が現代小児の消化器疾患に応用され、腹痛、下痢、過敏性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などに著しい効果が得られているので紹介する。

[中国小児科の傷寒論処方]
中国では、小児科に応用する中医古典処方は330方ある。その中の28方が「傷寒論」112方の中にあり、全体の25%を占めている。
小建中湯の他に小青竜湯、小承気湯、五苓散、葛根湯、白虎湯、桂枝湯、麻黄湯、麻杏石甘湯などである。

[「傷寒論」の小建中湯の「証」]
「傷寒論」に「小建中湯」の「証」は脾虚、虚寒証で「建中気、補脾胃、益気血、治悸煩、?外邪」の効能があると記述されている。

[小建中湯方]
桂枝三両(去皮) 甘草三両(炙) 大棗十二枚(擘)芍薬六両 生薑三両(切) 膠飴一升 (出典「傷寒論」:1両=50g、現在中国の小児科で実際に使用されている量は、桂枝6g 炙甘草3g 大棗6g 芍薬12g 生姜3g 膠飴20g)

成分分量 桂皮4g 生姜1g 大棗4g 芍薬6g 甘草2g 膠飴20g
用法容量 水約500mlを加えて煎じる
15才〜7才 大人の2/3 7才〜4才 大人の1/2
4才〜2才 大人の1/3 2才未満 大人の1/4
効 能 虚弱 疲労 腹痛 動悸 手足の冷え 頻尿
応 用 夜尿症 腎硬化症、前立腺肥大 関節炎 神経症 胆石症 肝炎
慢性腸炎 直腸癌 慢性胃炎 胃潰瘍 心臓弁膜症 高血圧 低血圧
気管支喘息 結核症 脱毛症 小児頭痛 夜啼症 など
(改訂4版 漢方業務指針 平成8年3月)

[小児の腹部症状]
中医学から見ると冷飲冷食、肉食、インスタント食の食生活の変化によって、小児科で腹部症状を訴える子どもが増加している。その症状は腹痛、下痢、便秘、便秘下痢を繰り返す、胃腸炎、過敏性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などが挙げられる。また冬の薄着、不規則な生活、ストレスによる生理不順、生理痛、冷え症、頭痛、めまい、立ちくらみ、食欲不振、不眠などの増加の影響で腹部症状も増加すると考えられる。

[中国現代小児科疾患への応用]
中国では、利湿、清熱、解毒、止血などの生薬を加味した小建中湯の煎じ中薬が小児の腹部症状の治療に応用され、腹痛、下痢、過敏性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などに著しい効果が得られている。

[応用できる日本のエキス漢方製剤]
日本漢方エキス剤は、一人一人に合わせて「弁証論治」で処方する煎じ薬のようには出来ないが、小建中湯の単剤の服用、或いはそれに清熱、解毒剤などを併用すると、小児消化器疾患に応用出来、有効であると考えられる。

[漢方応用例1]
男性 18才 A年1月8日から漢方薬服用
主訴 粘液便、ガスが溜まり腹満、冷え症、吐き気、風邪をひきやすい、口内炎、アレルギー性鼻炎、咳
病歴 A−2年5月から、部活の後、腹痛、下痢。9月に潰瘍性大腸炎と西洋医学の病院で診断される。その後出血が多く、2ヶ月入院治療(2週間の絶食とプレドニゾロンの静注)。退院後2種類の薬(ペンタサとイムラン)を服用。A−1年1月頃から出血、下痢を再発し、再入院治療のために大学受験は出来なかった。
漢方 小建中湯加味陳皮、党参、白朮、当帰、赤芍、黄?、黄柏、板藍根、枳実、仙鶴草
経過 A年1月8日より、漢方煎じ薬を服用開始し、受験出来て大学合格。4月10日、血便、下痢は改善、血液検査も正常化したので、煎じ薬から板藍根、枳実、仙鶴草を除いて継続服用。A+1年2月7日から腹痛、下痢、口内炎の症状が無くなったので、漢方煎じ薬を小建中湯、補中益気湯、小青竜湯の漢方エキス剤(小建中湯と補中益気湯は一緒に服用、季節と鼻の症状に合わせて時々小青竜湯を服用)に変更したが、再発なし。A+2年8月に腸の内視鏡検査で潰瘍、炎症は見られない。

[漢方応用例2]
男性 13才 B年3月20日から漢方薬服用
主訴 下痢、熱を繰り返す、唇荒れ腫れ、痛み、背中痒い、花粉症(鼻水、鼻づまり、鼻血)、咳
病歴 B−1年春頃、下痢、熱を繰り返し、内科病院入院治療。効果がなく、某県立子供病院でクローン病と診断され、同年7月末〜11月に入院治療(絶食とプレドニゾロンの静注)。
漢方 小建中湯加味当帰、赤芍、陳皮、黄?、黄柏、知母、桔梗
経過 B年3月20日より、漢方煎じ薬を服用。4月12日検査で炎症と潰瘍が認められ、再発と診断され13日から2ヶ月再入院治療(絶食とプレドニゾロンの静注)となった。家族の要望で、主治医は入院中の漢方煎じ薬(小建中湯加味当帰、陳皮、桔梗)の服用を許可。7月初旬、退院後本人来局。2種類の西洋薬(サラゾスルファピリジンとペンタサ)を服用中、咳、鼻の症状はなくなったが、貧血が認められたために漢方薬は陳皮、桔梗を除き、党参、白朮を加味した。1年後から西洋薬のサラゾスルファピリジンを中止してペンタサのみを服用、1年半後西洋薬は全て中止され、漢方薬も1ヶ月分を2〜3ヶ月で服用するようになり、B+2年4月に高校合格後、漢方薬の服用を中止したが、現在まで再発していない。

[漢方応用例3]
女性 18才 C年8月22日から漢方薬服用
主訴 頭痛、腹痛、便秘下痢繰り返す、冷え、めまい、立ちくらみ、肩こり、耳鳴り、生理痛、低血圧
病歴 中学生の頃から時々頭痛、腹痛。C−2年秋頃、頭痛がひどくなり、月に2〜3回、朝から夕方まで食事が摂れず、起きられない。12月に脳神経外科で偏頭痛と診断され、鎮痛剤(ロキソニン)を処方される。C−1年秋から更に悪化、週に2〜3日休み、別の病院で緊張性頭痛と診断され、以下の薬を内服している。
治療 セルシン ミオナール ミグシス デパケン
漢方 小建中湯加味当帰、陳皮、升麻、葛根、山椒
経過 8月31日、本人来局。頭痛は軽くなり、眩暈、立ちくらみ、冷えがよくなる。また同じ処方15日分を調合。9月14日母親が来局。頭痛は週1日休む程度まで改善したが、生理痛と便秘は改善されないので、枳実、木香、白朮を加味し15日分を調合した。10月31日母親が来局、ひどい頭痛は10日に1回位に改善。腹痛、便秘、下痢、耳鳴りがよくなり、生理痛、肩こりが軽くなり、同処方15日分を調合した。

[結語]
生活の変化により増加し続ける腹痛、下痢、便秘、胃腸炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病など小児から思春期の消化器疾患に小建中湯加味方が広く応用できると考えられる。また、生理不順、生理痛、冷え症、頭痛、めまい、立ちくらみ、食欲不振、不眠などの不定愁訴に小建中湯の加味の応用価値もあると思われる。

[参考文献]
  1. 江 育仁等 中医児科学 上海科学技術出版社 47〜55 2000.12
  2. 張 伯臾等 中医内科学 上海科学技術出版社 166〜169 2004
  3. 劉 柏炎等 脾胃病特色方薬 人民衛生出版社 63〜74 146〜174 235〜271 2006.12
  4. 肖 達民等 児科病 人民衛生出版社 43〜48 315〜358 2006.6
  5. 費 立升等 中医弁証施治 疑難雑症 科学技術文献出版社 41〜44 77〜82 2006.8

第39回日本小児東洋医学会
{会 期}2001年11月20日
{会 場}倉敷市芸文館
{主催者}日本小児東洋医学会
{演 題}小建中湯の現代小児疾患疾患における応用
発表者 侯 殿昌  孔 徳美  北京懐仁堂漢方薬局



3.中医学のIgA腎症治療法

[目的と背景]
日本のIgA腎症は、慢性糸球体腎炎の中で一番頻度が高い病気で副腎皮質ステロイド剤などの薬物治療で改善されず、透析療法が必要な患者が多い。中国では、IgA腎症の治療に中医学古典の腎機能を改善する古方を応用し、著しい治療成績がとれることを報告する。

[歴史と応用]
1.中医学から見たIgA腎症の原因
IgA腎症の中医学病名はなく、臨床症状からみると中医古典の中の「虚労」、「尿血」、「水腫」などに当たる。中医学から見た腎症の原因:
(1) 内因 腎陰虚気虚 腎陰陽両虚
(2) 外因 外感 飲食 労疲 情志失調

2.中医学のIgA腎症の症、治療基本と代表方剤
1.陰虚内熱症 滋陰清熱と涼血止血 知柏地黄丸
2.気陰両虚症 益気養陰と摂血止血 大補元煎 
3.脾腎気虚症 健脾補腎と益気摂血 補中益気湯 
4.瘀血内阻症 活血化瘀と行血止血 桃紅四物湯 
以上の「弁証論治」により、煎じ中薬の内服治療法が中心。

3.応用出来ると考える日本の漢方エキス剤
日本の漢方エキス剤は、中医学の「弁証論治」の一人一人に合わせて処方は出来ないが、中医学の治療基本からみると、地黄丸類、当帰湯類、補中益気湯類など漢方エキス剤の応用が有効と考えられる。

[治療結果]
1.中国の治療実績
黄瑞群氏は知柏地黄丸(医宗金鑑)の加減で40例の小児急性IgA腎症の治療結果は、完治33例、有効6例、無効1例、総有効率97.5%(<湖南中医雑誌>2004年2月号)。
劉宏偉氏は滋腎止血片(時振声経験方)で65例慢性IgA腎症の治療結果は、完全寛解41例、基本的寛解21例、有効12例、無効13例、総有効率80%(<遼寧中医雑誌>1999年6月号)。

2.作者の経験
作者は中医学の「弁証論治」により、煎じ中薬で7例のIgA腎症の治療結果は全て効果があり、その中には人工透析や腎臓移植後の腎機能低下を改善された症例もある。

[結語]
中国では、IgA腎症の治療に西洋医学の「治表」と中医学の「治本」による腎機能を改善との組み合わせ治療法、中薬(漢方薬)だけの治療法があり、良好な治療成績がとれている。日本のIgA腎症治療に、積極的な漢方薬の応用は価値があると思われる。

第27回日本東洋医学会東北支部学術総会
{会 期}平成23年9月11日(日)  9:20〜15:15
{会 場}青森県観光物産館アスパム
{主催者}日本東洋医学会
会 長 新谷 哲一

発表者 侯 殿昌  北京懐仁堂漢方薬局



4.中国のがん漢方治療

 がん難民という言葉通り、手術後“大丈夫”と言われたのに再発し、また転移・再発を繰返し、放射線治療・抗がん剤治療も繰返してなかなか治らない、治療法が無い、と苦しんでいるがん患者は沢山います。しかし、私から見て、手術前あるいは手術後あるいは放射線・抗癌剤治療と同時に体力免疫力を高める再発・転移予防の漢方薬を早目に服用すれば、かなりの方が助かる事が出来ると思います。がんの患者さんが来局されるといつも悔しい気持ちでいっぱいです。
ここで、2010年6月4日(金)〜6日(日)に名古屋で開催された「第61回日本東洋医学会学術総会」で発表した論文を掲載します。私と縁がある方、このホームページを見て下さっている方、是非読んでみて下さい。

[背景と目的]
がんは、世界的に医療の難題である。転移、再発、末期のがんに対する手術、放射線治療、化学治療の効果は十分とはいえない現状です。また放射線・化学治療では、様々な副作用が認められる。がんは現代の3大生活習慣病のひとつですが、漢方の古典にがんの記述や治療法は既にあり、また中国のがん治療は、50年代から西洋と漢方の「結合医療」の実施に従い、がんの漢方治療と研究に力をいれていることを報告する。

[がんの歴史]
1.殷周時代
殷商時代の甲骨文に「瘤」の病名があり、周の時代の「周礼」で、医師は食医、疾医、瘍医、獣医に分かれていて、その「瘍医」は外科で腫瘍を治療する医者。 「周礼」に「瘍医掌腫瘍、潰瘍、金瘍、折瘍之祝薬、翻殺之斉。凡療瘍,以五毒攻之,以五気養之,以五薬療之,以五味節之。」の治療法がある。                         
「山海経」に植物、動物、鉱物薬120種類があり、悪瘡、?瘤、噎食などの病気を治す。
2.春秋戦国時代
中国最古の漢方古典「黄帝内径」にはがんの原因、臨床症状、転移、治療などの記述があり、例えば、「虚邪中入、留而不去」、「喜怒不適・・・・積聚已留」、「膈噎不通、食飲不下」、「留而不去、則伝舎於絡脈」、治療について「堅者削之、結者散之」。
3.漢の時代
「傷寒雑病論」にはがんの「弁証論治」と沢山の優れた処方があり、例えば養陰と甘温法で「肺痿」を治療し、軟堅散結と活血??法で「??」を治すなど、処方は抵当湯、旋覆代赭湯、硝石?石散、?甲煎丸、大黄庶虫丸など。
4.晋の時代
皇甫謐の「鍼灸甲乙経」に鍼灸で沢山の腫瘍疾患の治療があり、葛洪の「肘後備急方」に甲状腺腫瘍とよくみられる腫瘍の治療だけではなく、予防と転移の対策と化学薬(紅升丹、白降丹)治療も行った。
5.隋の時代
巣元方の「諸病源候論」に腫瘍の病因、証候の記述は169ケ所あり、初めて良性と悪性腫瘍の鑑別をした。また、予防と治療に海藻、昆布、海苔を使い、内分泌治療を行った。
6.宋元時代
宋の東軒居士の「衛済宝書」(1170年)に初めて「癌」の漢字が出ている。また、がんの観察方法、診断治療法の記述もある。
金元時代に漢方の4大流派ができ、がんの治療も大きく進歩した。「火熱派」の劉完素は清熱解毒、清熱瀉火の治療法、「邪気派」の張子法は莪術、三?、甘遂 を使い、「?邪法」でがんを治療、「脾胃派」の李杲は 「養正積自消」と考え、がんの治療基本は「扶正」と主張、「補中益気湯」は今も癌治療によく使われる。「養陰派」の朱丹渓は「化痰法」で瓦楞子で消血塊、消痰で乳がんを治療。 また、「外科精義」に骨瘤、脂瘤、肉瘤、血瘤、膿瘤など10数種類の腫瘤の名前がある。
7.明清時代
以前のがん治療の経験上、各がんの発生、治療、予後と体質、年齢の関係などについて詳しい論述がある。
張景岳の「類経」と「景岳全書」に積聚??というがん治療の薬物は、攻、消、散、補の四種類。趙献可の「医貫」に食道がんの「噎膈」は「惟男子年高者有之,少無噎膈」である。李念莪は「初可攻、中応且攻且補、末宜補之」の治療法があり、「本草綱目」に、がん治療の薬物は130種類以上、清の呉謙の「医宗金ル」に癌疾は完治出来、或いは「帯疾而終天」、また、がんは臓腑と経絡のところに多い。高秉均の「瘍科心得集」に舌疳、失栄、乳岩、腎岩は「四大絶症」と言う。

[がんの病因と病機]
漢方ではガンは局部の病変ですが「内因」と「外因」の総合的な影響により、全身的な病気と考えています。
(一)正気虚弱 漢方では発生と進行の最大の原因は正気虚弱。正気が弱いと邪気の侵入を防ぐことができない。長期間体に留まると気血、臓腑の機能低下と平衡失調になり、これにより、がんが発生。従って、がんの患者さんは気血虚、脾虚、腎虚の証である。「正気」が衰弱、邪気が強盛、体力免疫力が低下、がんはさらに進行しやすい。また正気が弱くなり、悪循環になります。
(二)気滞血? 気と血は生命活動の重要な物質、全身に流れています。しかし、長期間の「情志憂傷」により、気血の運行は不暢、失調、気滞、血?になり、その状況を長くなると必ず「??積聚」、がんになる。
(三)痰湿凝聚 痰湿は水、液の異常代謝の産物。水液の凝聚により、痰になる、逆に水液は弥漫して湿になる。痰湿は気の昇降流行により、臓腑、筋骨、皮肉に行き、長期間蘊結して、がんになる。
(四)熱毒蘊結 熱毒はほんど外淫、陽邪、最も気を耗る、津液を傷る。また痰湿、?血と一緒に皮膚、経絡、臓腑に長期間積聚により、がんになる。
(五)臓腑失調 人の臓腑機能の調和は、気、血、精、津の元で健康元気を維持できる。もし臓腑機能失調になると?血、痰湿、濁気を生まれる、長く体に積聚して、がんになる。

[漢方のがん治療の基本]
がんの漢方治療の基本は、がん患者さんの体全体を考えて、扶正と?邪の結合。がんの進行度、患者さんの体力免疫力、食欲など全身の症状、血液の検査結果、西洋の治療法などに合わせて、「弁証論治」により、先補後攻、先攻後補、抗補兼施の治療法を選ぶ。
一、扶正 健脾益気 補腎益精 滋陰補血 養陰生津など
二、?邪 理気行滞 活血化? 軟堅散結 清熱解毒

[現在の中国のがん治療]
平成19年9月17日〜23日、北京の中国中医科学院広安門医院での「中西医結合がん治療研修班」に参加すると同時に、現在中国のがん治療について調査した。
1. 北京市内の中国医学科学院腫瘍医院・中国中医科学院広安門医院中医腫瘍医療センタ一・北京腫瘍医院以外にも、ほとんどの病院にがん外来と病棟が設立されている。中国厚生省所属の中国医学科学院は1956年に腫瘍病院と腫瘍研究所を設立、中国中医科学院は1963年に広安門医院に中国中医腫瘍医療センタ一を設立、2007年12月に中医腫瘍研究所を併設した。

2. 現在、北京市内では全ての医療機関の外来・救急外来に共通するカルテ手帳が発行されている。病院での検査結果とカルテ手帳は患者本人が保管・持参する。広安門医院のがん外来に来た肺ガン患者は、前日に北京大学第一病院で受けた検査結果とレントゲン写真を漢方診察に持参。再検査の必要はなく、即日漢方治療を受けた。
3.中国中医科学院広安門医院は漢方専門だが、がんの手術・放射線治療・抗がん剤治療も行っている。入院がん患者には検査、手術などの治療前にまず漢方薬の点滴と服用などの漢方治療を行う。

「治療効果」
1、上海復旦大学付属腫瘤医院 中西医結合がんセンタ 劉魯明氏の56例末期膵臓がんの治療結果
56例中末期膵臓がんの治療結果


治療法

1年生存率
(%)

2年生存率
(%)

3年生存率(%)

5年生存率
(%)

化学療法
+漢方薬

55.37

34.61

25.96

25.96

化学療法

21.95

7.31

7.54

0

P=0.004
劉魯明ほか(復旦大学付属腫瘤医院)
Society for Integrative Oncology(SIO)
April 25-26,2008? Shanghai,China


復旦大学付属腫瘍医院 中西医結合腫瘍センタ一劉魯明教授は中薬の膵臓がん治療U期臨床研究がアメリカのがん研究費215万ドル(2005.9〜2009.8)を獲得、末期膵臓がんの中西医の結合治療結果は平均生存期間40ヶ月(西洋医学だけの場合は5ヶ月)、10年以上の生存者は2人。2008年4月25日〜26日に上海で、アメリカのSociety for Integrative Oncology(SIO)が主催する学会が、アメリカ以外の海外で初めて開催されました。

2、中国中医研究院広安門医院 中国中医腫瘤医療センタ一 楊宗艶氏の126例末期肝臓がんの治療結果
126例原発性末期肝臓がんの治療結果


治療法

平均生存期間(月)

半年生存率(n %)

1年生存率(n %)

西洋薬
漢方薬

82

9.8

46(56.1)

18(21.9)

西洋薬

44

7.1

20(45.4)

7(15.9)

P=0.045 P<0.05
楊宗艶ほか(中国中医科学院広安門医院)
<中国中西医結合外科雑誌>2007年8月第13巻第4期

3、当薬局の各種がん、各末期癌の漢方治療の一部症例
【症例1】悪性リンパ腫 女性
平成18年1月12日漢方治療開始。当時73才。
平成16年に診断され、 2年間放射線と抗癌剤治療を受ける。
平成17年6月に右乳房に転移し、手術。
平成17年12月に子宮と膀胱に転移。腹水もあり余命1ヶ月と診断される。
平成19年11月30日 死亡。
【症例2】 膀胱がん 男性
平成19年3月29日から漢方治療。当時79才。
平成17年2月腎臓がんで手術。
平成17年6月膀胱に転移、内視鏡で手術。
平成19年2月 また膀胱転移。手術後、抗癌剤治療を受けるが、漢方薬の併用により副作用は無い。
平成19年6月、尿道に転移し手術。
現在は、新しい転移・再発は無く、漢方治療は継続中。元気。
【症例3】 すい臓がん 男性
平成19年8月17日に診断され、その日から
漢方治療開始。当時59才。
平成19年8月17日すい臓がんの大きさは3cmと診断され、9月3日精密検査で肝臓・胆管にも転移が見付かる。同年9月8日手術。その後、抗癌剤治療を受ける。 
現在は、転移・再発が無く、定期的に検査。
漢方治療を継続中。
【症例4】 肺がん 男性
平成17年9月1日漢方治療を開始。当時76才。
平成17年7月に肺癌を診断される。
平成17年8月3日〜23日まで入院し、抗癌剤治療開始。11月27日4回目の抗癌剤治療後、放射線治療40回を開始。両治療の時も漢方薬を調整して服用を続ける。その後も毎月服用し、現在に至る。
平成22年6月5日の肺・脳・骨のCT検査では、転移・再発は無い。漢方薬は減量し、継続服用中。
【症例5】 多発性骨髄腫 女性
平成14年4月18日漢方治療を開始。当時70才。
同年1月に発症し、同年3月15日手術。退院前に息子さんと娘さんが来局相談。退院日から漢方薬を服用。
現在は、再発も無く、元気で毎月定期的に漢方の服用を継続。約8年間服用中。
【症例6】 悪性リンパ腫 再発・転移 女性
平成18年5月16日 漢方治療開始。当時69才。
平成12年3月 悪性リンパ腫を診断される。
国立病院に入院し、抗癌剤治療を受ける。
平成13年11月再発。平成14年再発。
平成15年ペット検査でまた再発が見付かる。
平成18年4月腸膜に転移。
漢方治療中、断続的に抗癌剤治療を受ける。 
平成19年10月に乳癌を診断され、手術後、ホルモン治療開始。5年間の予定。
平成22年5月6日ペット検査結果、乳癌も悪性リンパ腫も再発・転移無し。現在は、元気で一切症状は無く、漢方薬を減量し継続中。

 

[考案・結論]
漢方のがん治療は2000年以上の歴史があり、経験豊富である。抗がんの免疫力、体力力、内臓機能、造血機能、胃腸機能を高める「扶正」の漢方治療は現在の三大西洋治療法と併用することは一番理想と思います。
「扶正」の漢方治療の併用により、放射線治療と化学療法の治療効果がアップする同時に副作用が減軽することができる。2009年6月東京大学医学研究所の田原秀晃氏の研究は免疫力の強化により以上効果が表明された。

[参考文献]
1. 中医学 1981年 河北医学院主編 人民衛生出版社
2.腫瘍特色方薬 2006年 蔡光先主編 人民衛生出版社
3.中医腫瘍学 2007年 周岱翰主編 広東高等教育出版社
4.腫瘍中医証治精要 2007年 陳?主編 上海科学技術出版社

第61回日本東洋医学会学術総会
{会 期}2010年6月4日(金)~6日(日)
{会 場}名古屋国際会議場 
主催者日本東洋医学会
{演 題}中国のがん漢方治療----------歴史と現在
発表者 侯 殿昌  北京懐仁堂漢方薬局



5.頑固な皮膚病の漢方治療効果

[目的]
生活習慣と環境の変化により、様々な皮膚病が増えている。西洋医学の抗アレルギー剤の服用と塗り薬の外治ではなかなか改善されない頑固な皮膚病がある。本治療は西洋治療で改善されない皮膚病について、漢方煎じ薬の内服で、良好な結果を得たので報告する。

[方法](症例紹介)
漢方煎じ薬を処方し、内服治療を実施。漢方治療前、すべての症例が皮膚科で長期間の治療をしている。漢方治療は基本的に1ヶ月単位の投薬、経過をみて処方を調整。本人の判断により西洋薬を中止、あるいは漢方治療と併用する。

症例1(乾癬・41歳/女性)
20代から乾癬と診断され、全身湿疹、かゆみ。06年10月より「養血潤燥、涼血解毒」の漢方煎じ薬を服用。

症例2(湿疹・19歳/男性)
13歳から両手、足が湿疹、痒み、皮膚割れ、出血。07年2月より「疏風活血、健脾利湿」の漢方煎じ薬を服用。

症例3(湿疹・68才/男性)
63歳から全身湿疹、かゆみ。高血圧、喘息、糖尿病もあり、12種類の薬を服用中。07年12月より「疎風清熱、涼血解毒」の漢方煎じ薬を服用。

症例4(湿疹・19才/女性)
16歳から両膝に発症、その後両足、両手、背中など全身に広がり、痒みもあり。08年6月より「清熱解毒、活血涼血」の漢方煎じ薬を服用。

[経過・結果]
症例1
2ヶ月目より効果が出る。一年間の治療で完治。現在再発なし。

症例2
服用19日目で効果が表れ、一年間でほぼ完治。その後、漢方薬を減量して服用、08年9月に完治し、漢方治療中止。

症例3
2週間目から効果が出て、約40日間でほぼ完治。現在喘息と腎機能を高める処方に変更、漢方治療継続中。

症例4
4ヶ月後から好転、6ヶ月目で著しく改善し、現在漢方治療継続中。
当薬局では様々な皮膚病の症例に、漢方薬服用が3ヶ月未満の症例を除き、全症例に満足な効果を得ることができ、完治した症例も多く、再発しにくい。

[考察]
皮膚病の漢方治療については、古典の「当帰飲子」方を始め、「温清飲」「荊防敗毒湯」方、「消風散」方など漢方処方があり、本治療は現代人の生活環境、体質に合わせて古典処方を加減・変更し、西洋治療で改善できない皮膚病に対して、著しく効果があることが観察できた。

[結語]
西洋医学ではなかなか効果が満足できない頑固な皮膚病に対して、西洋医学の「外治」と漢方医学の「内治」の組み合わせは、理想的な治療法と考えられる。また古典の皮膚病の漢方処方は現代人にも優れた効果があると思う。

第12回日本統合医療学会学術集会
{会 期}2008年12月6日〜7日
{会 場}九州大学医学部 百年講堂
{主催者}日本統合医療学会
{演 題}頑固な皮膚病の漢方治療効果
発表者 侯 殿昌  孔 徳美  北京懐仁堂漢方薬局



戻る

薬局の概要スタッフ紹介薬局の案内薬局のシステム学会発表例
当薬局で対応可能な疾患ブログ無料相談お知らせ